新たな購入方法「残価設定」を利用した住宅ローンの仕組みとは?

A-Lifeマガジン

新・新車購入方法でお馴染みの「残クレ」とは?

皆さんは、「残クレ」や「残価設定」という言葉をご存知でしょうか?
「残クレ」という言葉が、新しい車の購入方法として数年前から車業界で普及しているのがですが、この「残クレ」という言葉をお聞きしたことのある方は多いのではないでしょうか?
「残クレ」や「残価設定」は、正式名称を「残価設定クレジット」または、「残価設定型ローン」とも表現します。
 CMや雑誌、ネットなどの広告で、「今なら新車を半額で購入できます!」といったコピーを目にした方も多いはずですが、一般的には新車を購入する時に、この「残価設定型ローン」を組んで利用する人が増えています。


「残価設定クレジット」「残価設定型ローン」の仕組みとは?

前述の通り現在、日本国内で一般的に残価設定が普及している業界は、車業界での「新車購入時」においてのタイミングのため、新車の購入を例にご説明します。

この残価設定を利用して購入する仕組みは、数年後(3~5年後)の車の査定価格(残価)をあらかじめ差し引いた上で、残価を月々のローンで返済することにより、総額の約50%~70%の負担で車が購入できる。というものになります。数年経過したのちに、車を返却すれば販売した会社が買取保証額(残価)を負担してくれるので、事実上ローンの完済となります。仮にそのままその車に乗り続けたいなら、残価を一括で販売会社に支払ったり、新たにローンを組み直す事により自身の車にする。という事も可能です。

残価設定型の住宅ローン1

「残価設定クレジット・残価設定型ローン」のメリット・デメリット

車を例に残価設定についての概要をお伝えしましたが、ここからは残価設定についての
メリット・デメリットについてご紹介します。

【メリット】
1. 月々の支払いが少なくなる。
2.短期間(3~5年)での更新が可能。
3.残価があらかじめ保証されている。
4.各種ローンと比較すると低金利の場合が多い。
5.車の場合、契約期間3年で乗り換えるなら車検費用は不要。
  車検費用込みのプランも有る。

【デメリット】
1. 支払う利息が多くなる。
2. 乗り続ける場合は、支払総額等が通常購入時以上になる場合もある。
3.走行距離の制限があり、超過すると追加で負担が発生する。
4.事故などのより車に傷が付いてしまった場合はペナルティとして追加費用が発生する。
5.基本的には契約した車の改造やカスタマイズは認められていない。

(出典:HONDA)
 残価設定型の住宅ローン2

上記の項目から考えると、「まとまったお金をすぐに用意することは難しいが、中長期的に車が必要な人や新車の購入を検討している人」にとってはとても助かる仕組みであり、その他にも「短期間(3年~5年)での契約が可能」というポイントは魅力的で、今後の需要も更に高まっていきそうです。
では、実際に「残価設定クレジット・残価設定型ローン」がどのような人に向いているのかを、下記に簡単にまとめてみました。


「残価設定クレジット・残価設定型ローン」が向いている人

・「住宅の家賃や学費などの出費がかさみ、新車を購入したいが月々の出費は抑えたい」という人
・子供の誕生日や、自身で一人暮らしを始めるタイミングなどのライフステージの変化や、イベント事に合わせて車の乗り換えを検討している人
・新車を購入するのにまとまったお金をすぐに用意できない人
・将来的には購入した車を売却する予定だが、中古市場において車の価値(価格)が下がってしまう事が心配という人。

ここまで、車業界の新車購入時においての「残価設定クレジット・残価設定型ローン」のメリット・デメリット等について簡単にご説明させていただきましたが、残価設定の仕組みについて、「まだ良く分かっていなかった」という方も、これである程度把握できたのではないでしょうか。
知っていた方も今一度、この残価設定のメリット・デメリット等の仕組みについて考える機会にしていただければと思います。

そして、この残価設定の仕組みが本格的に「住宅業界にも参入」というニュースが日本経済新聞に掲載されて話題になっているので、事項ではこの、残価設定の仕組みを利用した住宅ローンについてご説明していこうと思います。






車でお馴染みの「残価設定型ローン」が住宅ローンでも適用される

「残価設定クレジット・残価設定型ローン」の最大のメリットは、「毎月の返済額が低く抑えられる」ということです。これがとても魅力的な仕組みになるわけですが、このメリットを最大限に有効活用することで、人々の所得が全体的に伸び悩むなか、若い世代を中心に、残価設定の仕組みを応用しマイホーム取得を応援しようという動きが広がりを見せ始めています。

残価設定を住宅ローンに活用したとして、10~20年後に家の下取りをしてもらえるとしたら、月々の返済額はグッと抑えられてお手頃になるのではないでしょうか?
また、将来的にマイホームをどうするのかを考える良いキッカケにもなるはずです。もしも、家族が増えて現状の家の間取りでは狭さを感じていたら、住宅販売会社に相談し引き渡し、新たな家を探しても良いと思います。
「理想的な家に住みたいと思うならば、平均3物件は経験しなさい」とも言われます。

理想の間取りを求めて残価設定を住宅ローンを有効的に活用することも可能ですし、「残価設定型の住宅ローン」で契約した物件に、今後もそのまま住み続けたいと思えば、もう一度、住宅ローンを組み直すか、残債を一括返済できるなら問題ありません。

こうしたメリットが注目され、「残価設定型の住宅ローン」は、現在、国土交通省の国庫事業でもある「平成28年度長期優良住宅化リフォーム推進事業(提案型)」にも導入されることが決定し、
補助金の対象にもなっている取り組みです。

残価設定型の住宅ローン3

この「残価設定型住宅ローン」は現在、「北海道R住宅ストック流通推進プロジェクト」で取り扱っているのみでまだまだ一般的に浸透しているとまでは言えません。このプロジェクトは、北海道の一般住宅会社と検査機関、建築士、金融機関が連携して試行段階として実施しています。それもあって利用者数は現段階では少なく、本格的な普及には至っていないのが現状です。

車とは違い、金額が大きくなるため、関係各所との連携、細かな試行錯誤が必要であり、それらの問題を少しずつ改善しようとしています。そんな「残価設定型住宅ローン」のメリット・デメリットについて簡単に下記にまとめてみました。

残価設定型の住宅ローン4

「残価設定型住宅ローン」のメリット・デメリット

【メリット】
・子育て後に賃貸に住み替えたり、移住する。という選択肢が増える
・住宅ローンそのものの金額は、通常のローンよりも抑えることができる
 (子育て中の世帯は負担が軽減される。)
・「人生100年時代」の現代においては、家の寿命が先に来るので、「残価設定型住宅ローン」を利用することも手段の1つになる
・大規模なリフォームが必要になる前に手放すことが可能になる
・価値の低い不動産を子供に相続せずに済む

【デメリット】
・契約期間終了後に、再度ローンを組むと支払総額が高くなる
・住宅ローンそのものは低く設定できるために、ライフプランを細かく立てずにローンを組む人が増える可能性がある
・残価が想定価格を下回ると、その分を現金で補わなければいけない場合がある

などが考えられます。

今後、日本全国で普及するにしても、まだまだ住まいの「買取保証額」をどのように設定するの
か?併せて「買取保証額」を高くするには、大前提として住宅性能の更なる向上を図ったり、さらに
はその性能を長期的に維持していく必要性が出てきます。
こうした課題を一つ一つクリアすることができれば、「残価設定型住宅ローン」も、本格的に普及していくかもしれません。

現在日本では、新築住宅を購入する方が多く、住宅ローンも新築住宅に合わせたプランが主流でしたが、今回取り上げたような「残価設定型住宅ローン」が全国的に普及することにより、新築住宅の購入はもちろんのこと、中古住宅も手頃な価格で購入できるようになり、安心感も増していくのではないでしょうか?今後の「残価設定型住宅ローン」の動きや普及率に注目です。

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